どうも、作家のサクライ(@sakurai_39_39)です!
今回は、アナログイラストを綺麗に見せる加工術をご紹介いたします。
アナログ絵師さんだと、どういう方法であれ原画をデータ化する方がほとんどだと思います。
スキャナで原画をスキャンしている方の中には、「うちのスキャナ、何やねん…どういうことやねん、これ…」と言わずにはいられないスキャンデータを叩きつけられる方もいらっしゃるはず…。
しかし、スキャンデータのクオリティは、ある程度はスキャナで決まってしまうもの…。
悲しいですが、それは事実だと思います。
ですが!
スキャン後の加工で、原画の素晴らしさに近づけることはできます!
というわけで、原画の素晴らしさを取り戻すための加工術をご紹介していきます。
ちなみに、以下が加工前と加工後のビフォーアフターです!
全然違う…!
ちなみにちなみに、以前にもスキャン後の加工術をご紹介した記事を書きました。
www.mos-note.pink基本的には同じような内容ですが、今回はさらに充実した加工術となっております。
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使用スキャナ紹介
まずはご参考までに、私がスキャン時に使用している複合機スキャナのご紹介です。
大学入学時に購入した、かなり年季の入ったプリンターです。
プリンター自体はもう使っていないのですが、スキャン機能に関しては新しく購入したプリンターの複合機スキャナよりも気に入っているので、スキャンのみこちらを使用しています。
ちなみに、アナログ絵師|良いスキャナが欲しくて色々調べてみたでは、個人的に欲しいと思っている凄腕スキャナをご紹介しましたが、まだ手に入れることができずです…。
加工術の紹介
それでは早速、加工術をご紹介したいと思います!
使用ソフトは、ペイントツールのスタンダード【CLIP STUDIO PAINT PRO】を使用しております!
まずは下準備として、以下の2種類のデータをスキャンしておきます。
- 正位置の向きのデータ
- 上下反転したデータ
上記2種類のデータを用意する理由は、色飛び等の問題解決!スキャン後のアナログイラスト加工術でも書いたのですが、水彩紙のデコボコ感をなくすためです。
加工の手順は、以下の通りです。
- 反転してスキャンした方のデータのレイヤーモードを「カラー比較(明)」にする
- 正位置のデータを複製 → 明るさ・彩度を調整
- 新規レイヤー作成 → 人物部分をグレーで塗りつぶして、レイヤーモードを「焼き込みカラー」に変更
- 人物部分の色味調整(後ほど詳しく!)
- 新規レイヤー作成 → 背景部分を塗りつぶしてレイヤーモードを「オーバーレイ」や「焼き込みカラー」に
- ワンピース部分を選択 → 複製した原画データの明るさ調整
- 作品の隅っこを明るく調整
- 水彩テクスチャで加工したり、影入れをして完成!
結構やることが多いですが、1つ1つの工程自体は簡単なものなのでご安心を!
加工術を詳しく解説
それでは詳しく書いていきます。
手順①
反転してスキャンした方のデータのレイヤーモードを「カラー比較(明)」にする
レイヤーモードを「カラー比較(明)」にしたら、上下反転したデータを回転させて正位置のデータと重ね合わせるようにします。
こうすることで水彩紙のデコボコ感が消え、デコボコ感による影も消すことができるので、個人的には必須の工程となっております。
ただ、「水彩紙の質感を残したい!」という場合は、しなくてもいいかもです。
手順②
正位置のデータを複製 → 明るさ・彩度を調整
私は今回、明るさ・彩度ともに2~3程度アップさせました。
ガッツリ明るくするというよりは、全体の暗さを飛ばすイメージです。
ちなみに、正位置のデータを複製せずに明るさ調整等をしてしまうと後からやり直しが効かないので、データは必ず複製して加工するようにしましょう!
手順③
新規レイヤー作成 → 人物部分をグレーで塗りつぶして、レイヤーモードを「焼き込みカラー」に変更
焼き込みレイヤーの不透明度は、お好みの仕上がりになるよう調整してくださいね。
今回の作品は、背景も描き込んだ作品なので、人物と背景それぞれ分けて色味調整等を行いました。
というのも、人物に合わせた加工を行うと背景の色味がおかしくなったりするからです。
背景を描いていない場合等は、人物も背景も一緒に加工してしまって問題ないと思います◎
(個人の好みにはなりますが…)
手順④
人物部分の色味調整
ここは結構やることが多いです…!
- 手順③で用意した人物部分の塗りつぶしレイヤーを選択して、新規レイヤーを追加
- 新規レイヤーを肌色で塗りつぶして、レイヤーモードを「加算」に変更し、透明度を7%に
- 同じように人物部分をピンクで塗りつぶしたレイヤーをもう1つ追加
- ピンクで塗りつぶしたレイヤーのレイヤーモードを「オーバーレイ」にして、透明度を5%くらいに
- 再度人物部分をグレーで塗りつぶしたレイヤーを追加、レイヤーモードを「焼き込みカラー」に
文章だといまいちわかりづらいので、それぞれの工程を作品を用いて解説していきます。
だいぶ見栄えが変わってきましたね!
手順⑤
新規レイヤー作成 → 背景部分を塗りつぶしてレイヤーモードを「オーバーレイ」や「焼き込みカラー」に
こんな感じで青色で塗りつぶしてオーバーレイにしたり、水色で塗りつぶして焼き込みカラーにしたりして、青空の色を調整しました。
オーバーレイは彩度アップとくすみ飛ばしの効果、焼き込みカラーは色を濃くする効果があります。
ちなみに、オーバーレイの加工術については、以下の記事でも書いています。
オーバーレイは、かなり活躍してくれるレイヤーモード!
手順⑥
ワンピース部分を選択 → 複製した原画データの明るさ調整
私が使用している複合機スキャナだと、スキャン後に全体的にかなり色がくすんで暗くなるので、ワンピースの白さを取り戻すために明るさを調整しました。
やりすぎると真っ白になって作品の中で浮いてしまうので、不自然にならない程度に明るさをアップします◎
手順⑦
作品の隅っこを明るく調整
先述の通りスキャンすると全体的に暗くなり、特に隅っこが暗くなるので、そこも調整しておきます。
今回は白色のグラデーションでしたが、作品によってはイエローやブルーなんかも合うかもしれないので、その都度色々な色で試してみてください!
手順⑧
水彩テクスチャで加工したり、影入れをして完成!
CLIP STUDIO内でダウンロードできる水彩テクスチャを貼り付け、レイヤーモードを変えていい感じにします。
白色でキラキラさせたり…。
今回は帽子の影入れもCLIP STUDIOで行いました。
アナログイラストは失敗すると後戻りができないので、「失敗したらどうしよう…」と不安になる時は、デジタル作業時に影や柄を入れるのもおすすめです。
完成!
以上で完成です。
いかがでしょう?
中々やることは多かったかもしれませんが、やる価値はあったのでは…!
ていうか、こうやって見たら改めて加工前の酷さに驚く…。
スキャンデータ自体のクオリティを高くしたい人は…
複合機スキャナでも、加工をすることで見栄えはかなり変わるということを実感していただけたのではないかと思います。
しかし、「加工にあまり時間をかけたくない…」、「できるだけ原画の良さをそのままスキャンしたい」という方は、思い切って良いスキャナを購入するのもおすすめです。
そこで私がおすすめするのは、アナログ絵師|良いスキャナが欲しくて色々調べてみたでもご紹介した、以下のスキャナです。
水彩紙の凹凸等を拾わず、滑らかな仕上がりのスキャンができるそうで、実際にスキャンされた作品を見てみると色もとても綺麗でした…!
詳しくは以下の記事をご参照いただけると幸いです。